黒化(ニグレド)
佐倉市美術館 サバイバル・アート展
千葉県
1996.7

ミカンの食べかすと落ち葉を混ぜたものを、薄いアクリルボックスに入れ、壁面に設置。アクリルボックスは5個。社会の中で敬遠される「生ごみ」は、時間の経過の中で「肥土」に変容していく。その過程を、錬金術の黒化と題し、「サバイバル=生存に不可欠なもの」として展示した。

黒化(ニグレド)説明抜粋
この両者は、余の言いけらく、墓の容器のなかに一緒に入れられると互いにむごたらしく噛みつきあい、その猛毒性と野蛮な激情にまみれつつ、その有毒のよだれと致命的な傷のために全身血まみれになるまでの(冷気が入ってその妨げにならない限りは)すさまじいい噛み合いを演じるその瞬間から、絶対に離ればなれにならない。両者は最後に相手を殺してしまうと、自分の毒の中で煮られるが、この毒が両者を死後に生命と永遠の水の中で変容させる。だが、その時がくるまでに両者はその分解と腐敗の中で本来の自然の姿を失い、ここに独自の新しい、より高貴な、以前に比べてはるかに良質な形態を帯びることになるのである。
「イメージの博物誌 錬金術」平凡社より抜粋

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