梅が、咲き誇っていました。
安普請で改装しましたので通気性抜群の「梅の小屋」は、この季節は少々寒さが沁みます。家族を残し、一人、花見です。
背には起伏の激しい寒霞渓、前には鏡のような内海湾、小鳥たちのさえずりも、花々に喜びにぎやかしくなってきました。日常に倦んだ時は、好い心の洗濯になります。
木馬は、いろいろ旅をして、梅の小屋に帰りました。
先代とも仲が良かった井本妙子さんは、百寿を前に、とうとう旅立っていかれました。
娘が不登校になりました。
悲喜こもごも、様々な思いが交わる春です。
ここに一人で来ると、いつも榎倉康二先生が好きだった「剣菱」で献杯しています。一人キャンバスに向かう榎倉省吾さんが目に浮かぶ度、背筋が伸びる思いがします。もっと暖かくなる頃は、子供たちの元気な遊び声の中に、娘の声も混じっていることでしょう。