小豆島 梅の小屋は、すっかり黄色に染め挙げられていました。11月初めに個展を行った頃は、まだ暑い日がありTシャツで過ごせたのですが、秋は急ぎ足でやってきました。


東京の個展で、梅の小屋オーナーである黄田禎子さんにお会いした際、「心月輪」という本を5冊頂き、梅の小屋に持ってきました。
「心月輪」は、榎倉省吾さんの伝記が書かれた本です。榎倉省吾さんは、梅の小屋に眠っていらっしゃいまして、黄田禎子さんは榎倉省吾さんの娘、「心月輪」を書かれたのは、ご主人黄田光さんというご関係です。
榎倉省吾さんは、著名な画家であり、行動美術協会創立メンバーでいらっしゃるのですが、残っている冊数がわずかになった「心月輪」を、小豆島でゆかりのある方にお配りしました。

本にも登場する井本妙子さん、御年99歳。榎倉省吾、千代ご夫妻の茶飲み友達でした。井本家は若い方が増え、昔のことを知っていただきたいとお配りしました。井本妙子さんに本を持っていただき写真を撮ることは、ご高齢のため叶いそうにありませんでした。

三好商店の三好さん。榎倉省吾さんファンで、後ろに飾ってある絵以外にも、絵を所蔵していらっしゃいます。歳森の同期、夭逝した三好浩平さんのお兄さんでもあります。

安養寺ご住職。榎倉家のご位牌を守って下さっています。三好さんからそのことをお聞きし、ご紹介いただきました。後ろにかかっているのは、省吾さん晩年の傑作です。真言宗では、「心月輪」を「しんがつりん」と読むこと、榎倉千代さんが男勝りでしっかりした方だったことを教わりました。

石井 純さん。小豆島アートプロジェクト・プロジェクトリーダーであり、醤の郷現代美術館やジョルジュ・ギャラリー(ジョルジョ・ルースの作品展示)などを運営していらっしゃいます。醤の郷現代美術館には、小豆島ゆかりの美術家作品も多く所蔵され、榎倉省吾作品もあります。

松井正澄さん。象設計集団、アトリエトド主催の建築家です。中国地方の象設計建築巡り、瀬戸内海の美術館巡りの旅で、梅の小屋にも滞在していただきました。近年の不調から回復され、祝杯を挙げることも出来たのも、うれしい限りでした。

若い頃から苦労しながらも、独学で精力的に作品制作を行い、独自の画風を確立した榎倉省吾氏の詳細が、「心月輪」を読むと分かります。控え目に見えながら、内に熱いものを秘めている独立独歩の生き様が、絵には良く表れていると思いますし、そのようなところに魅力を感じる榎倉省吾ファンは今でもいらっしゃいます。また、榎倉康二氏の作品からも、父のそのようなところを伺い知ることが出来るような気がします。

ここから、また新たな物語が紡がれていきますことを、、、。